肩腱板断裂
肩腱板断裂とは、肩の関節を支え、動かす役割を持つ4つの筋肉の腱(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の総称である「腱板」が、骨からはがれたり、切れたりした状態のことです。
多くの場合、腱の変性(もろくなること)が基盤にあり、そこに転倒して手をつく、重いものを持つといった物理的な衝撃が加わることで発症します。また、明確な怪我がなくても、日常的な動作の繰り返しで自然に断裂が進むこともあります。
四十肩・五十肩と症状が似ていますが、腱板断裂は「筋肉の連続性が断たれている」状態であるため、適切な治療やリハビリが必要となります。
症状
肩腱板断裂の症状には、以下のようなものがあります。
- 肩の痛み :腕を上げるときや、下ろすときに痛みが生じます。特定の角度で「引っかかるような痛み」が出るのが特徴です。
- 夜間痛 :夜、寝ている時に肩がズキズキと痛み、眠れなかったり目が覚めたりすることがあります。
- 筋力低下: 肩に力が入らなくなり、自分では腕を高く上げることが難しくなります。他人の力で支えてもらえば上がることもあります。
- 関節の軋轢音: 腕を動かした時に、肩の中で「ジョリジョリ」「ゴリゴリ」といった音がすることがあります。
放置すると断裂が広がり、さらに腕が上がらなくなる恐れがあるため、早めの診断が推奨されます。
診断
肩腱板断裂の診断には、以下の方法が用いられます。
- 身体診察: 医師が腕を様々な方向に動かし、痛みが出る角度や、特定の筋肉の力が弱まっていないかを確認します。
- X線検査:腱自体は写りませんが、肩の骨の隙間の狭まりや、骨棘ができていないかを確認し、間接的に腱板の状態を推測します。
- 超音波検査: 診察室でリアルタイムに腱の断裂の有無や、動きを確認することができます。
- MRI検査 :断裂の部位、大きさ、筋肉の萎縮の程度を最も詳しく診断できる検査です。手術の必要性を判断する際にも極めて重要です。
治療
症状や断裂の程度、年齢、仕事やスポーツの活動度に合わせて治療方針を決定します。
- 保存的治療 多くの場合は、まず保存的治療から開始します。
- 安静・活動制限:痛みが出る動作を避け、患部の安静を保ちます。
- 薬物療法:消炎鎮痛剤(内服薬や貼り薬)で炎症を抑えます。
- ヒアルロン酸・ステロイド注射:痛みや炎症が強い場合、関節内に直接注射を行い、症状を緩和させます。
- 手術的治療 保存的治療を数ヶ月続けても痛みが引かない場合や、筋力低下が著しく日常生活に支障がある場合に検討されます。
リハビリテーション
腱板断裂のリハビリは、肩の動きをスムーズにし、残っている筋肉をうまく使えるようにするために不可欠です。
医師の指示のもと、リハビリスタッフが個人の症状や悩みに合わせたプログラムを提供いたします。
- 拘縮予防: 肩を動かさないでいると関節が固まってしまうため、痛みに合わせて徐々に動かせる範囲を広げる訓練を行います。
- 筋力トレーニング :切れていない他の腱板を強化し、肩の安定性を高めます。ゴムチューブなどを用いた低負荷の運動が中心です。
- 肩甲骨の可動性向上 :肩の動きは肩甲骨と連動しているため、肩甲骨周りの筋肉をほぐし、スムーズな連動を促します。
- 姿勢改善と動作指導 :猫背などの姿勢は肩への負担を強めるため、正しい姿勢の維持や、肩を痛めない腕の使い方の指導を行います。