整形外科

30.理学療法士が伝えたい「正しい身体の使い方」

理学療法士が伝えたい「正しい身体の使い方」

腰痛や肩こり、膝の痛みなど、多くの人が日常生活で体の不調を経験します。その原因の一部は、実は「身体の使い方の癖」にあります。理学療法士は身体機能の専門家として、患者のリハビリだけでなく、予防の観点からも「正しい身体の使い方」を伝えることを大切にしています。ここでは、日常生活で意識したいポイントを紹介します。


姿勢の基本を整える

長時間のデスクワークやスマホの使用は、猫背や反り腰の原因となり、首や腰に大きな負担をかけます。正しい姿勢の基本は「耳・肩・骨盤が一直線に並ぶ」こと。椅子に深く腰掛け、背筋を軽く伸ばすだけでも体への負担は軽減されます。立位では、両足に均等に体重をかけ、膝を軽く伸ばすのが理想的です。


動作のコツを意識する

  1. 立ち上がり動作
    椅子から立つときは、背中を丸めず前傾姿勢をとり、太ももとお尻の筋肉で体を押し上げるようにします。腕の力に頼りすぎないことがポイントです。
  2. 物を持ち上げる動作
    重い荷物を持ち上げるときは、腰から曲げるのではなく、膝をしっかり曲げてしゃがみ込み、足と体幹の力で持ち上げます。腰痛予防に直結する重要な習慣です。
  3. 歩行
    足裏全体で着地し、かかとからつま先へ体重を移す「ローリング歩行」を意識すると、膝や股関節への負担を減らせます。

呼吸と体幹を意識する

浅い呼吸やお腹の力が抜けた状態は、姿勢の崩れや疲労感を招きます。深く息を吸って肋骨を広げ、ゆっくり吐く呼吸を習慣にすると、体幹が安定しやすくなります。また、体幹の筋肉を鍛える簡単な運動(プランク、腹式呼吸など)は、全身の動きを支える基盤になります。


生活習慣の工夫

正しい身体の使い方は、一度覚えてもすぐに元に戻りがちです。日常生活に工夫を取り入れることが大切です。

  • 30分に一度は姿勢を変える
  • スマホは目の高さに持ち上げて操作する
  • 家事や移動を「ながら運動」として捉え、自然に体を動かす

こうした小さな工夫が、将来の体の不調を防ぐ大きな一歩になります。


まとめ

理学療法士が伝えたい「正しい身体の使い方」とは、特別なことではなく、日常生活の中で姿勢や動作を少し意識することにあります。無理のない範囲で習慣化することで、痛みの予防やパフォーマンス向上につながります。身体を大切に使うことは、自分自身の健康寿命を延ばすための最も身近な方法なのです。

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