再生医療

7.変形性膝関節症に対する運動療法と日常生活の工夫

変形性膝関節症に対する運動療法と日常生活の工夫

変形性膝関節症は、中高年に多くみられる膝の慢性的な疾患で、関節の軟骨がすり減ることで痛みや腫れ、動かしにくさが生じます。進行すると歩行や立ち上がりといった基本動作も困難となり、生活の質(QOL)が大きく低下します。治療法には薬物療法や装具療法、手術などがありますが、特に重要なのが運動療法と日常生活での工夫です。ここでは理学療法の視点から、そのポイントを紹介します。

まず、運動療法は膝関節の負担を減らし、機能を維持・改善するために欠かせません。特に効果的なのが大腿四頭筋(ももの前の筋肉)の強化です。この筋肉は膝関節を支える役割が大きく、筋力が低下すると関節にかかる負担が増し、痛みや変形が進行しやすくなります。椅子に座って膝を伸ばす「膝伸ばし運動」や、仰向けで脚をまっすぐ上げる「ストレートレッグレイズ」など、自宅でもできる簡単な運動から始められます。痛みが強い場合は、関節に負担の少ない水中歩行やエアロバイクも有効です。

また、関節可動域を保つためのストレッチも重要です。膝が固まると動作がますます困難になるため、痛みのない範囲で膝の曲げ伸ばし運動を行い、柔軟性を保ちます。理学療法士の指導のもとで無理のない運動を継続することが、症状の進行を防ぐ鍵となります。

さらに、日常生活での工夫も症状の改善に大きく関わります。まず体重管理が重要で、体重が1kg増えると膝には約3倍の負担がかかるといわれています。無理のない範囲での減量は、膝への負担軽減に直結します。加えて、長時間の立位や階段の昇降、重い荷物の持ち運びは膝に負担をかけるため、こまめな休息や荷物の分散を心がけましょう。膝を深く曲げる正座や和式トイレも避けたほうが無難です。

また、杖や膝サポーターなどの補助具を活用するのも有効です。正しく使用することで関節への負担を軽減し、痛みを抑えながら安心して歩行することができます。理学療法士や整形外科医と相談し、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

変形性膝関節症は進行性の疾患ですが、運動療法と日常生活の工夫によって、痛みの軽減や進行の予防が可能です。大切なのは、無理のない範囲で継続することです。自分に合った運動と生活習慣を取り入れながら、膝と上手に付き合っていきましょう。

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