骨粗鬆症リエゾンサービス (OLS) は、日本骨粗鬆症学会が策定した、骨粗鬆症の啓発・予防・診断・治療のための多職種連携システムです。これは、国際骨粗鬆症財団(IOF)が推進する骨折リエゾンサービス(FLS)を発展させたプログラムとして位置づけられ、最初の脆弱性骨折への対応と骨折リスク評価、新たな骨折の予防(二次予防)、そして最初の脆弱性骨折の予防(一次予防)を目的としています。
このサービスの対象は、大腿骨近位部骨折例、その他の脆弱性骨折例、骨折リスクの高い例、転倒リスクの高い例、そして一般の高齢者まで幅広く設定されています。この包括的なケアシステムを担う専門職として、「骨粗鬆症マネージャー」という学会認定の資格制度が設けられています。医療職を対象とした教育プログラムを通じて、骨粗鬆症診療支援に必要な知識習得と疾病管理に関する認識共有を図ることが目的です。
海外でおこなわれたFLSの取り組みでは、多職種連携による骨折抑制の推進が重要な成果を上げています。介護施設や在宅高齢者を対象とした複数の研究から、骨折後の治療率の向上、死亡率や再骨折発生率の低下、さらには医療費の削減につながる可能性が報告されています。
わが国における骨粗鬆症リエゾンサービスは、以下の業務と成果を目指しています:
• 地域・社会部門: 骨粗鬆症に関する社会啓発活動や骨検診活動を通じて、骨検診受診率の向上を図ります。
• 診療所部門: 患者教育、非骨折患者の骨折一次予防に向けたリスク評価、既発骨折患者の連携施設との情報共有、治療継続のための医療情報管理などを行い、治療継続率の向上と骨折発生率の低下、QOL・ADLの向上が期待されます。
• 病院部門: 入院患者での骨折リスク評価率の向上、患者教育・手術などの初期治療、回復期治療の一部を担います。また、外来・他施設との円滑な連携を通じて、在院日数の短縮や逆紹介率の上昇を目指します。これにより、治療継続率の向上と再骨折率の低下にも寄与すると考えられます。
骨粗鬆症患者は、予防から診断、治療、リハビリテーション、介護に至るまで、複数の施設や部門を時系列で利用することが多いため、リエゾンサービスによるスタッフ間・施設間での円滑な情報共有が、質の高い包括的ケアを提供する上で特に有効であると考えられます。これは、健診から保険診療、介護まで、きめ細やかに国民の福祉に取り組む日本ならではの包括的診療支援システムとして期待されています。