整形外科

8.膝関節の負担を減らす!日常生活でできる5つの工夫

膝関節の負担を減らすために日常生活でできる工夫として、以下の5つの点が挙げられます。これらは、変形性膝関節症の診療ガイドラインに基づいた保存療法や生活習慣の改善に関する提言です。

1. 疾患を理解し、生活習慣を見直す 変形性膝関節症の治療において、患者さん自身が疾患の病態を理解し、それに則した生活様式や治療法に積極的に関わることが重要であるとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.21]。患者教育や生活指導は、鎮痛効果や機能改善効果、ADL(日常生活動作)改善効果を認め、有用であるとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.44]。具体的には、疾患に関する情報提供プログラムやグループ学習、電話・インターネットによる指導などが挙げられています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.44]。

2. 体重を適切に管理する 変形性膝関節症に対する体重減少は有用であるとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.66]。特に、運動介入に体重減少介入を加えることで、運動介入のみの場合と比較して、鎮痛効果と機能改善効果が良好であったと報告されています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.66, 67]。体重が膝関節にかかる負担に直結するため、適切な体重管理は重要です。

3. 定期的な運動療法を取り入れる 運動療法は、変形性膝関節症の鎮痛、身体機能改善効果、ADL改善効果を認め、有用であるとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.49]。これはOARSIなどの主要なガイドラインでも「核心的な治療(core treatment)」の一つとして推奨されています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.49]。陸上運動の場合、週3回、8~11週間または12~15週間の実施が有用であると報告されています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.49]。また、運動はサルコペニア(加齢性筋肉減少症)、フレイル、ロコモティブシンドローム、肥満の体重管理にも有益であると期待されます [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.49]。骨粗鬆症の予防においても、歩行を中心とした運動の日常的実施が推奨されています [GL2015, p.68]。

4. 装具やサポーターを適切に利用する 変形性膝関節症に対して、装具療法(歩行補助具を含む)は有用であるとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.62]。特に膝装具や外側楔型足底板は、痛みの軽減と機能改善に関して大きな効果を有することが示されています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.62, 63]。膝装具には皮膚の刺激感や不快感などの合併症が報告されていますが、装具の着脱により改善しやすく、他の薬物療法や手術療法に比べて対処が容易であると考えられています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.63]。

5. 痛みに合わせた活動調整と早期の専門家相談を心がける 膝の痛みが持続すると活動性が低下し、身体機能の低下や精神的苦痛につながります [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.21]。痛みの原因となる病態(例えば、歩行時の痛みや夜間痛など)を把握し、それに則した治療を速やかに行うことが大切です [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.21]。もし単純X線画像と臨床症状に乖離がある場合は、MRIなどで膝関節内で起きている変化を客観的に捉える試みが必要であり、単に経過観察を指示することは推奨されないとされています [変形性膝関節症診療ガイドライン, p.21]。これは、日常生活での痛みの悪化が続く場合、専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要であることを示唆しています。

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