整形外科

8.腰痛に対する理学療法的アプローチ

腰痛は現代人に非常に多い症状のひとつであり、長時間のデスクワークや運動不足、加齢に伴う筋力低下など、さまざまな要因によって引き起こされます。理学療法では、痛みの軽減だけでなく、再発予防を含めた根本的な改善を目指して多角的なアプローチを行います。本記事では、腰痛に対する理学療法的な取り組みについて紹介します。

腰痛の評価と原因の特定

理学療法ではまず、患者の症状や生活習慣、動作パターンなどを詳しく評価します。腰痛は単に腰椎や周囲筋の問題だけでなく、骨盤や股関節、胸椎など他部位の機能低下が関与することも多いため、全身の動きを包括的に観察することが重要です。加えて、画像診断や医師の診察結果も参考にしながら、急性期か慢性期か、神経症状を伴うかなどを見極め、適切な治療方針を立てます。

理学療法の主なアプローチ

腰痛の理学療法は、痛みの軽減と機能回復を目的に段階的に進められます。急性期では過度な負荷を避けながら、温熱療法や電気刺激療法、軽いストレッチなどを用いて炎症や筋緊張を緩和します。痛みが落ち着いた後は、体幹(コア)や骨盤周囲筋の筋力強化、柔軟性向上を図る運動療法を中心に行い、姿勢や動作の改善を目指します。特に、体幹筋群の安定性を高めるエクササイズは再発予防にも効果的です。

日常生活指導と再発予防

理学療法士は、治療室内だけでなく日常生活全般での動作指導にも力を入れます。正しい座り方や立ち上がり動作、物を持ち上げる際の姿勢などを指導することで、腰に過剰な負担をかけない習慣づくりをサポートします。また、長時間同じ姿勢を避ける、適度な運動を取り入れるといった生活習慣の改善も、腰痛予防に重要です。

まとめ

腰痛に対する理学療法は、単に痛みを和らげるだけでなく、原因を見極めて根本的に改善することを目指しています。個々の症状や生活背景に合わせた評価と運動プログラム、生活指導を組み合わせることで、患者の自立した生活を支援し、再発を防ぐことができます。腰痛で悩む方は、早期に理学療法士へ相談し、適切なケアを受けることが大切です。

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