成長期スポーツ障害(オスグッド病など)と理学療法
成長期の子どもたちは、体が大きく変化する時期にあり、骨や筋肉、腱のバランスがまだ整っていません。そのため、運動量の多い子どもやスポーツ選手に多くみられるのが「成長期スポーツ障害」です。代表的なものに膝の下が痛むオスグッド病(オスグッド・シュラッター病)があります。ここでは、この障害の特徴と理学療法士による対応について解説します。
1. 成長期スポーツ障害とは
成長期は骨が急激に伸びる一方で、筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、関節周囲に大きな負担がかかりやすい時期です。特にジャンプやダッシュ、方向転換の多い競技では、繰り返しの衝撃が骨端部(骨の成長部分)に加わり、炎症や痛みを引き起こします。オスグッド病はその代表例で、膝のお皿の下にある脛骨粗面に強い牽引力がかかり、痛みや腫れが生じます。
2. 症状の特徴
オスグッド病では、膝下の骨が出っ張って赤く腫れ、運動時に強い痛みを感じます。初期はプレー後に痛みが出る程度ですが、悪化すると歩行や階段昇降でも痛みを感じ、日常生活に支障をきたすこともあります。無理に続けると骨の変形や慢性的な痛みにつながるため、早期対応が重要です。
3. 理学療法の役割
理学療法士は、痛みを和らげながら再発を防ぐために以下のようなアプローチを行います。
- ストレッチ
大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が硬いと脛骨粗面への負担が増すため、ストレッチで柔軟性を高めます。特に太もも前やふくらはぎの伸張が効果的です。 - 筋力強化
痛みが落ち着いてきたら、太もも裏(ハムストリングス)やお尻(大殿筋)の筋力を強化し、膝への負担を分散させます。体幹トレーニングも安定性向上に役立ちます。 - 動作指導
ジャンプや着地のフォーム、走り方の改善は再発予防に欠かせません。膝に過剰な負担がかからない動きを習得することが大切です。 - 物理療法
痛みが強い場合は、アイシングや電気治療などを用いて炎症を抑えることもあります。
4. 生活・スポーツへのアドバイス
- 痛みがあるときは無理に練習を続けず、休養をとることが重要です。
- ウォーミングアップとクールダウンを習慣化し、柔軟性を維持しましょう。
- 成長期は体の変化が大きいため、指導者や保護者も症状に気づきやすくなることが大切です。
まとめ
オスグッド病をはじめとする成長期スポーツ障害は、早めの対応と正しいリハビリで改善が期待できるものです。理学療法士は、ストレッチや筋力強化、動作指導を通じて痛みの軽減と再発予防を支援します。成長期の子どもたちが安心してスポーツを楽しめるよう、周囲も含めた総合的なサポートが求められます。