腱鞘炎
腱鞘炎は、手首や指の腱鞘(けんしょう)の周りに炎症が起こる病気です。
腱鞘は、腱が通る管のようなもので、腱がスムーズに動くようになっています。
腱が何らかの原因で繰り返し摩擦や負荷にさらされることで、腱鞘内に炎症が起こることが原因です。
手首や指を使う職業やスポーツ、重い荷物を持ち上げるなど、反復的な動作が多い人によく見られます。
また、手首や指を急に痛めたり、姿勢が悪かったりすることでも腱鞘炎を発症することがあります。
症状
腱鞘炎の主な症状は、手首や指の痛みやしびれ、腫れ、動かしにくさなどです。
具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
- 痛み
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手首や指を動かしたときに、痛みを感じることがあります。
痛みは、軽度な場合は軽い痛みから、重度な場合は強い痛みまで様々です。
また、痛みが生じる箇所も患者によって異なります。 - 腫れ
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腱鞘炎では、手首や指周辺に腫れが生じることがあります。
腫れは、手首や指を動かすことで増えることがあります。 - 動かしにくさ
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手首や指を動かす際に、スムーズに動かなくなることがあります。
また、手首や指を動かすことが痛みや違和感を引き起こすことがあります。 - しびれ
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手首や指のしびれ感が出ることがあります。
しびれは、痛みと一緒に出ることもあります。
以上のような症状が現れた場合、腱鞘炎の可能性があります。
しかし、これらの症状は、腱鞘炎以外の病気や疾患でも現れることがあるため、症状が続く場合には、医師の診断を受けることが重要です。
診断
腱鞘炎の診断には、主に以下の方法が用いられます。
- 症状の確認
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医師は、患者の症状や病歴を聞き取ります。
具体的には、どの部位が痛んでいるか、どのような動作をした際に痛みやしびれが生じるかなどを確認します。 - 検査
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医師は、手首や指の可動域や、触診によって腫れや炎症の有無、腱や筋肉の状態を確認します。
また、X線検査やMRI検査、超音波検査などの画像診断検査を行うこともあります。 - テスト
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医師は、特定の動作を行うテストを行うことで、腱鞘炎の診断を行うことがあります。
これらの方法を組み合わせることで、腱鞘炎の診断が行われます。
症状が軽度な場合でも自己診断や自己治療を行わず、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。
治療
腱鞘炎の治療方法は、症状の重さや痛みの程度によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。
- 休養
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手首や指を使わないようにすることで、炎症を静め、痛みを軽減することができます。
- 氷や温湿布の利用
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炎症を抑えるために、氷や冷水で冷やすことが有効です。
また、症状が落ち着いた後には、温湿布を使うことで血流を促進し、緊張をほぐすことができます。
- 薬物療法
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いることで、炎症を抑えることができます。
また、重度の症状がある場合は、ステロイド剤の注射や、局所的なステロイド剤の塗布が行われることがあります。 - フィジカルセラピー
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マッサージやストレッチ、電気療法などを用いることで、炎症を和らげ、筋肉や腱の柔軟性を高めることができます。
ただし、腱鞘炎の治療方法は症状や個人差によって異なるため、自己判断や自己治療は避け、必ず医師の指導の下で治療を受けるようにしましょう。
リハビリテーション
腱鞘炎のリハビリテーションは、症状の軽減や再発の予防に重要な役割を果たします。以下に、一般的な腱鞘炎のリハビリテーションの方法をいくつか紹介します。
- エクササイズ
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指や手首の可動域を拡大し、筋力を回復するために、ストレッチングや筋力トレーニングを行います。
運動量や回数は、症状や個人差に応じて調整されます。 - マッサージ
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筋肉や腱をほぐすことで、血流を促進し、炎症を軽減することができます。
- 電気療法
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低周波電気療法や超音波療法などの治療器を用いて、筋肉の血流を促進し、痛みや炎症を軽減することができます。
- 負荷の制御
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手首や指を負担する動作を減らし、症状の再発を予防するために、動作の方法を変えたり、一時的に手首や指の使用を制限したりすることがあります。
- インフォームド・コンセント
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患者さんが病状や治療方法を理解し、自己管理能力を高めるために、リハビリテーションにおいて、情報提供や教育的な指導を行うことが重要です。
ただし、腱鞘炎のリハビリテーションは、症状や個人差によって異なるため、必ず理学療法士の指導の下で行うようにしましょう。
また、リハビリテーションを継続することで、症状の改善や再発予防につながるため、適切な方法で行うようにしましょう。